日本の科学技術、お先真っ暗

 日本ほど大学院博士課程修了者を冷遇して

いる先進国はない。これまでは彼らは大学の

助手(助教)として採用されたり民間大企業

の研究開発部門に雇用されてきた。

 しかし、その肝心の大学が教授まで『任期制』

『パート化』された。人材の固定化を防ぎ、競

争を導入して研究の活性化をうながす試みだと

言う。そのこと自体は文句はない。しかし、そ

うでなくとも身分が不安定な博士課程修了者の

身分をますます不安定にしてしまう。

 博士号取り立て、結婚したてで生活が不安定

なのに職が3年~5年の任期制ではおちついて

研究などできない。せっかく助教に採用された

のにすぐ次の職探しに明け暮れる。

 職がなければドイツのマックスプランク研究

所に行ってしまう。ドイツでは博士修了者を受

け入れるこの研究所が至る所に存在するのだ。

ここでは若手研究者のポストが有り余っていて

日本人の博士修了者まで受け入れてくれる。

 日本でも理研という研究所があるが博士修了

者の有効なポストはきわめて少ない。このまま

では日本の科学者人材は育たない。つまり日本

の科学技術はお先真っ暗なのだ。