北海道旅行、恥の上乗り、その1

 これまで北海道を自分の足で歩いたことは一度もなく

すべて講演依頼かテレビの仕事で訪問しただけでした。

したがって訪問地は札幌、留萌、函館に限られていたの

です。しかもこれらの場にはマネージャーが一緒ですか

ら『ついでに観光』とも行かなかった、つまり私はこの

歳まで北海道は自分で歩いたことがなかったわけです。

 そこでこのコロナ下、徹底的に孤独な、隔離された北

海道旅行をするこにしました。自分のくるまに食料を積

んで極力レストランには行かない、団体客とは同席しな

い、ひとが集まる観光地には行かない、を原則としまし

た。

 そのためには自分で自分の車の運転をしなければなら

ない。12日間、運転が疲れたならば途中の山中の温泉

にでも滞在しようとの企画。まず手始めに仙台港から苫

小牧までのフェリーに乗って車を運ばねばならない。フ

ェリーなど初めて。

 当初の予定は8月9日のフェリー。しかし台風9号、

10号の直撃を受けキャンセル、結局2日遅れて11日

仙台港からの出発となりました。仙台港など宮城県出身

の私も初めて。実際には仙台港といっても広いのです。

どこに行ったらよいのか分からない。そのうち小さい建

物が目につきました。フェリーという文字が小さく見え

ましたのでここに入ったのです。

 ところがここには誰もいない。うろうろしていると掃

除のおばさんみたいなひとがいたのでフェリーに乗りた

いのですが、と尋ねました。その人曰く、3時半ごろ来

てごらん、人が出て来るみたいよ、と。

 まだ2時間もある。どうしよう。ふと遠くに『イオン

』の文字が見えたので、しめた、ここで当座の食料を買

い込むことにした。原則冷凍食品、野菜、果物。やがて

3時半、時間が来た。事務所でフェリー乗船手続き。旅

行者で予約してもらっていたので事務処理は簡単。ただ

船は遅れているのでいつ出帆するか分からないという。

夜中の11時から12時の間になるらしい。

 さてそれではどうすればよいのだ?ただただ待つしか

ない。どこで待つのだ。それらしき広い駐車はいくつも

ある。どこに並んで待つのか?うろうろ、ウロウロ。何

の表示もない。再び例の小さいフェリー事務所に引き返

し11時までどこに待てばいいのか?そこのお姉さんは

あっちアッチと北の方を指さした。

 そこで北の方に行ってみたがそこはトラックの山。と

ても割り込む隙もない。仕方ない、夕食でも車で食べて

9時ごろまでウロウロしよう。そのうちフェリーに乗り

込む車も集まって来るだろう。

 お弁当を食べ終わってジュース飲んでいたら前を札幌

ナンバーの車と帯広ナンバーの車が走った。これだ!こ

の車の後をつけて行けばいいのだ。その車はある駐車場

のうち1,2、3と書いてある2という場所に止まった。

私はその後ろにつけた。これが大当たり。苦労した。旅

のはじめからこの調子。先が思いやられます。 つづく