那須サイエンスカフェ第3回報告(暗黒エネルギーと暗黒物質)

那須サイエンスカフェ第3回、報告

「暗黒エネルギーと暗黒物質の違い」           2019年10月19日(土)18:00~20:10 稲村公民館      (10月12日、 開催予定が台風19号のため一週間順延となった。)

サイエンスカフェのメンバーの大岩さん宅(宇都宮市)が、この度の台風19号の被害を受けられたとのことです。心より、お見舞い申し上げます。

・基調講演及び討議

 水蒸気⇒水滴⇒氷となるとき、エネルギーが出るように、宇宙では何もない空間から光子が実空間に集まり(莫大なエネルギーが出る)、相転移が起き、10-36秒後ビッグバンになった。この理論の提唱者が、東大の佐藤勝彦名誉教授で、この理論が実験的に検証されれば、ノーベル賞受賞は間違いないと言われている。

ところで、今回の台風は相転移の被害と言える。日本列島の中央の山々に雨雲が当たり、断熱圧縮により、水分が雨となった。温暖化が進んでいることもあり、海水温が平年差より1.2℃高く台風の規模が大きかった。

台風は地球の自転に伴うコリオリの力で、左巻きの渦となっていて、山岳地帯とぶつかる台風の西側で大雨となり、太平洋側の多くの河川が決壊した。雨量に対し風速は小さかった。

大きな被害はであったが、ひと昔前の被害から比べると人的被害は数字上大きく減少していることは事実だ。東京では地下の巨大遊水空間が機能し、浸水による被害はほとんどなかった。

 本論に戻り、暗黒エネルギー(ダークエネルギー)は1998年パールムッター&リースが宇宙の膨張が加速していることを発表。現在、観測可能な超新星約700個を観測し、その距離に注目すると、60億年前から加速度的に膨張が始まっていることが判った。重力エネルギー優勢からの転換である。このエネルギーは宇宙の成分の68.3%と計算されるが、正体は不明。

 、また、暗黒物質ダークマター)の存在は、銀河の泡構造(宇宙には、ほとんど何もないところや、銀河が多くあるところがある。)があり、ダークマターの重力相互作用が原因である。さらに、星雲の回転速度がすこぶる速いものがあり、遠心力が釣り合うためには何らかの物質の存在が必要となる。そして、重力レンズ効果を観測することで分布の様子を推定できるが、これも正体は不明で、宇宙成分の26.8%と計算される。

 通常既知物質は4.9%に過ぎない。

 大槻先生はダークエネルギーダークマターの正体は何だと考えられていますかとの問いに対しては、色々な説を知っているがゆえに、恣意的になる懸念もあり、答えませんとのことです。

 ところで、大槻先生は過去にノーベル賞推薦委員を6年間経験されていたとのことで、その時代はインターネットもなく、該当者の功績を調査するのに、その都度本人から聞き取りを行ったそうです。

 ノーベル賞の受賞が決まると、メディア各社がその内容をスクープするが、なかでも、朝日新聞の科学部門の記事が毎回素晴らしいとのことです。

 また、吉野彰教授が、リチウムイオン電池の実用化に大きく貢献した業績により、ノーベル化学賞を受賞されたが、10年ぐらい前から候補に挙がっていたが、なかなか頂けなかったそうです。おそらく、急遽、文化勲章も今年受賞されると思うが、文化勲章の決定過程は疑問が残るとのことです。

 大槻先生はノーベル賞については魅力ある賞であるが、ご自身の研究対象が「面白いと思ったこと」であり、「科学文明を変える」意気込みにかけていたとの感想でした。

 先生の今後の目標は「新たな科学哲学体系を創る」ことにあるそうです。

 

     (吉川記)