『東大医学部はダメ』のショック、受験戦争で超難関の人材はどこに消えたか

数日前の朝日か毎日の紙上で現職の東大医学部の教授

が『東大医学部はダメになった』という嘆きが報じら

れた。そんなことは私自身、とっくの昔から知ってい

たことだ。しかし現職の教授が嘆くまでひどいとは思

わなかった。

 そこでそれがいかにひどいかを確認するために医学

系の学会の会長(理事長)の現職を検索してみたのが

以下である。

 日本泌尿器科学会  慶応大学医学部教授

 日本脳神経外科学会  東北大医学部教授

 日本心臓外科学会   福島医科大教授

 日本外科学会   九州大学医学部教授

。。。。。。。。   。。。。。。。

 な、なんと東大医学部教授など皆無ではないか!

  東大医学部入学は超難関なので頭が良すぎて

現場の医師などの道を行かず研究に没頭しているの

だという意見も聞く。それならばノーベル医学生

学賞の候補を探してみよう。

 (2020年10月2日  日経新聞より)

京都大学 森教授

国際医療センター  満屋所長

大阪大学  坂口教授

東京農工大 遠藤教授

。。。。。。。    。。。。。。。

な、なんと東大教授はゼロ!

  超難関の受験戦争を突破して東大理3(医学部)に

合格した人材はどこに消えたか?!たしかに現場の医学

は受験参考書を暗記するのとはまったく違う。現場の学

問はもっと泥臭い。のこぎりで骨を切ったりはったりす

るのだから。物理学でも同じ。現場の研究はアルプスの

はずれの神岡鉱山の穴の中にもぐっておいそれと外にも

出てこれない。しかしこれが3度のノーベル物理学賞

なったのだ。

  このままでは東大理3は廃部にした方がましだ。そ

うでなければ入学者は『一定基準の成績』の受験生から

くじ引きで選ぶようにすれば良い。

お国のために死ね、靖国神社に祀ってやるから、とどのつまり特攻兵、そのため子供を『生めや育てや』

     古関裕而作曲

             勝ってくるぞと 勇ましく
ちかって故郷(くに)を 出たからは
手柄たてずに 死なりょうか
進軍ラッパ 聴くたびに
瞼(まぶた)に浮かぶ 旗の波

<引用:『露営の歌』一番の歌詞より>

  小学1年生でもこの歌を知っていたし

直立して歌わされた。『手柄たてて死んで

ゆけ』と。

    その極めつけは若い予科練兵。つまり特攻隊。

これはアメリカの軍艦めがけて爆弾を乗せたまま

体当たりして死ぬための兵隊。

   以下予科練の歌

若い血潮の 予科練
七つボタンは 桜に錨(いかり)
今日も飛ぶ飛ぶ 霞ヶ浦にゃ
でっかい希望の 雲が湧く

燃える元気な 予科練
腕はくろがね 心は火玉
さっと巣立てば 荒海越えて
行くぞ敵陣 なぐり込み

<引用:西條 八十『若鷲の歌』一番・二番の歌詞より>

  西城八十は『敵陣 殴り込み』とカモフラージして

いるが今でいう自爆テロ。こんな戦争では兵士の命など

いくらあっても足りない。そこで軍部内閣は『生めや増

やせや』『生めや育てや』運動キャンペーンをやった。

 子供をどんどん生んで兵隊さんを作れ!と。そのため

か兄弟男の子10人生まれたという笑い話があった。

 当時『肉弾3勇士』という映画を見せられた。何?

肉弾だと?特攻隊員の一人一人が人間ではなく弾丸なの

だ。戦争、とくに先の大戦は非人道的なものだった。敵

アメリカに対してはもちろん、わが日本国国民に対して

きわめて非人道的なモノだった。

 こんな戦争で虫けらのように殺された父の無念さを

晴らすのにどうすればいいのだ。それには生涯『反戦

平和』を主張しつづける以外にはないのだ。私の『反戦

平和』は単なるロマンではない。そこには深い呪いと憎

しみが含まれているのだ。

真珠湾攻撃、父の戦死、いまだに戦争を呪い、反戦平和の旗

今朝の朝刊、各紙、真珠湾攻撃による世界大戦の勃発

など記事は小さい。年々小さくなる。みんな興味もな

ければ知識もなくなった。つまり多くの日本人は、あの

戦争をすっかり忘れている。

 しかし私は決して忘れない。わが父を奪った戦争だか

らだ。父は戦争が始まっても召集されなかった。そ

のころ、父は県立産業試験所の技師で専門職だったから

だ。近所の若い『跡取り』はすべて召集され戦死してい

った。父もやがて召集される、と心配していた。父は言

った。『オレが召集されたらこの戦争は負けだ』と。

 私はそのころ小学生になったばかり。『召集されたら

逃げればいい』『蔵王の山の中なら警察も入れないよ』

父は笑って答えた。『バカ言うな。山に逃げたら山の人

たちにつかまるよ』と。1年ほどたってその父も召集さ

れ父の戦地からはがきがきた。軍用はがきだった。今の

北朝鮮の奥地のようだ、と隣の叔父が言った。切手もス

タンプもない。

 その軍用はがきにはカラーで靖国神社が印刷してあ

った。『名誉の戦死をとげたら会いに来てくれ九段坂』

とカナで書いてあった。小学校2年の私でも意味

は分かった。戦死が名誉だと?!と腹が立った。父が

戦死しても靖国神社のある九段坂などに行くものか!

 やがて父は戦死、そして終戦。道路に生えている

雑草まで食べた。残された母と兄弟4人。有り余る柿

と雑草で5人は何とか生き延びた。私の反戦平和の思想

はこの時の靖国神社の軍用はがきへの反発で始まった。

     (つづく)

 

大飯原発再稼働、規制委員会の審査を否定する判決のショック

      (朝日新聞からの引用)

 東日本大震災の後、再稼働した関西電力原発、大飯3、4号機(福井県おおい町)の安全性に問題があるとして、近畿6府県や福井県などの住民約130人が、原子力規制委員会が関電に与えた設置許可処分の取り消しを求めた訴訟の判決が4日、大阪地裁であった。森鍵一裁判長は規制委の判断を「看過しがたい不合理がある」として処分を取り消した。

 福島第一原発事故後、設置許可の取り消しを認めた司法判断は初めて。同事故後、厳しくした新規制基準に基づく規制委の審査の課程を否定したことになり、他の原発の審査にも影響を与える可能性がある。

【動画】勝訴の原告団が会見=細川卓撮影

 主な争点は、関電が設定した最大の地震の揺れの想定「基準地震動」が適切だったかどうかだった。耐震設計の程度などを決める原発の安全性の根幹となる値だ。

 基準地震動は、各電力会社が設定し、規制委が内規にあたる「審査ガイド」に従って審査する。大飯3、4号機の場合、最大856ガルと設定された。関電は安全対策を強化した設置許可を申請し、規制委はこれを許可した。

 判決は、まず基準地震動の定め方について、新規制基準に適合したものかどうかを判断する「審査ガイド」中の文言「(計算式の持つ)ばらつきも考慮する必要がある」とする部分に言及し、これは福島第一原発事故を受け、地震規模について得られる平均値に何らかの上乗せをする必要性を検討すべきだとの趣旨であるとした。

 そのうえで、関電の基準地震動を検討。地震断層などの観測データに基づく「平均値」と指摘し、均値と乖離(かいり)するデータを検討すること自体をしておらず、規制委も必要性を検討することなく設置許可を与えており、許可するまでの判断過程に看過しがたい過誤、欠落があると指摘。許可を取り消すべきだとの判断。

。。。。。。。

        (引用終わり)

 この地裁の判決文は難解である。規制委員会はこれまで

原発再稼働の条件としてきびしい判断をしてきた。今回の

関西電力が過去の地震動のデータから最大の『地震動』平

均値を決定して発電所構造を決めたのに規制委員会はその

平均値を1.2倍した値に変更して許可した。規制委員会

は『想定しうる最大の地震動を超える安全値』としたはず

である。

 しかし地裁はこれを認めなかった。上にのべた安全値を

使ってあらゆる場所の安全設計を行っている。判決では、

各場所の計算では地震動の影響がでるのにばらつきがある

はずだ。このばらつきに考慮がまったくない、と。これは

もしかして難問を突き付けらえたことになるのではないか。

はたして規制委員会の判断能力が十分か?つまり安全設計

の安全度のばらつきを各箇所別に計算式を出せる能力がある

のか。これは電力会社の安全設計計算にも当てはまる。

衆議院議員会館における集会『許すな憲法破壊!緊急院内集会』-学術会議任命拒否は憲法違反ーに来賓として出席

 11月30日国会第一議員会館にて上記の集会がありましたので

出席しました。学術会議は物理学関連、電気工学関連の学会が

中心ですから理系科学者が多く集まると思って参加したのですが

ほとんど文系の人達の参加でがっかりしました。それでも参加は

会場満員の大盛況でうれしかったのも事実でした。

 以下は主催者の方のお一人に送ったメールの一部です。

  Mさま

今回はじめて昨日のような集会に出席させていいただき

感激しました。とくに学術会議弾圧をはねつけるような

今回のような集会は科学者として大変力強く感謝申し上

げます。学術会議の構成学会はの会員数で言えば、理工系

とくに我々の物理学会応用物理学会と電気系学会が圧
倒的多数にのぼります。これらの学会は当然のことなが
ら軍事研究と密接の関係します。そこで学術会議
が軍事研究を長く拒否してきたことに日本の保守、右派
政権は反発してきました。
    したがって今回の学術会議弾圧は今に始まったことで
はなく1960年代から継続的になされてきたことです。
中曽根科学技術長官の時代、政府はアメリカから軽水炉
を輸入することに決めました。そしてそのことを学術会
議に諮問してきたのでした。当時の学術会議は明確ノー!
と答申しました。アメリカの原子炉の運転は始まったば
かりでその安全性に疑問が残る。日本独自で研究開発す
べきだ、としました。
  これに激怒した中曽根長官は学術会議を弾圧どころ
か消滅させる手段に出ました。つまり学術会議の政府予
算をすべてゼロにして政府職員を引き上げました。学術
会議の六本木のビルは電気もつかずエレベターもストッ
プしました。そして中曽根長官の次にやったことは『第
二学術会議』とも言うべき御用学者のみを集めた『産業
会議』のでっち上げでした。
 しかし学術会議はこのような弾圧をはねのけ生き残り
ました。皆様の支持があったからです。そして今回の弾
圧です。これもみごとはねのけることのできるようがん
ばりましょう。
       大槻義彦  

菅総理大臣閣下、国会の場で討論しない、するつもりもない、いや討論する能力ない

この秋の国会は菅総理大臣閣下の初舞台であり討論の

正否が試されるものだった。だから時間があれば国会

中継をよくみてきた。

 コロナ対策はもちろんのこと、デジタル化、日本

学術会議問題と多彩なテーマが並んだ。これらのテー

マでの野党の質問は十分資料を集めて鋭かった。これに

対して安部さんの答弁は抽象的、もん切り、オウム返し

な答弁で多くの場合討論に発展することがなかった。

 学術会議会員の6名もの任命拒否問題。拒否の理由

についてただす野党の質問に答えて曰く。『国家公務

員の任免権は総理大臣にある』と。野党の質問はそん

な見え透いたことを聞いたのではない。今回の任命拒否

の理由は何かと聞いたのだ。再三ききただしても、任命

権は私にある、の一点張り。

 このようなオソマツな答弁では国会討論、国会審議に

なっていない。なぜどうどうと『6名は過去に自民党

政策を批判したから』と答えなかったのか。この答弁

があれば議論は紛糾し、それだけ議論は発展する。しか

し菅さんは口が裂けてもこのような本音は言わなかった。

 何故か。うっかり本音を言えばその反論、反発がおこり

それに十分対応する自信がなかったからだ。『本音を言って

反発されたらそれを反論する自信がない』と。つまりすべて

の討論論戦をやりとりする自信がない。だから討論、論戦

を避けたのだ。

 国会という大きな場でまともに反論も論戦もできない総理

大臣とは何か?それを真っ向から受けて立つ能力のない総理

大臣とはなさけない。最高の政治家としての能力もなく、世

界観もなく、哲学もない。これが世界有数の先進国ニッポン

の最高指導者の現状だ。なさけないなあ!

   戦後の日本の復興をなしとげた吉田茂総理を思い出す。

私の大嫌いな右翼だったが、その識見の高さは驚くべき

ものがった。時の東大総長、政治哲学として高名な大学者

南原繁が政府の方針に反対したとき

   名指しで『曲学阿世!』と罵倒した。

 (曲学阿世=学問の本道を捻じ曲げ世を乱すこと)

名古屋大学、研究不正か?ネイチャーの論文撤回、そのグラフェンナノリボンとは?

               (中日新聞27日より引用)
科学誌ネイチャーは二十五日付の電子版で、昨年六月に掲載した名古屋大トランスフォーマティブ生命分子研究所の伊丹健一郎教授(合成化学)らの研究チームによる論文を撤回したと発表した。実験データの一部に誤りなどがあったという。名大は調査委員会を設置し、経緯や原因、研究不正に当たるかなどについて調べている。
 論文では、次世代の半導体の材料として期待される炭素素材「グラフェンナノリボン」を、精密に合成できる技術を開発したと報告していた。発表後に、炭素素材の構造などを確認した装置の実験データの一部に誤りがあるほか、信頼性のない実験結果が含まれていたことが分かり、伊丹教授らが名大本部に申告。ネイチャー側にも論文の撤回を申し入れていた。
 伊丹教授は「疑義のあるデータが含まれ、論文全体の信頼性が損なわれたため撤回した。混乱を招いたことが申し訳なく、科学界全体にもおわびしたい」と話した。
       (引用終わり)
 炭素原子Cほど面白く変化に富むものはない。例えば
鉛筆の芯になったりダイアモンドになったり。炭素原子
60個サッカーボールのように結合したのがC60フラー
レンである。
 一方炭素原子が蜂の巣のように6角形格子構造をした
ものも注目されておりグラフェングラフェンシートと
呼ばれる。またこれがチューブ状につらなったものが、
 このグラフェンシート、またはカーボンナノチューブ
から一直線に炭素原子が並んだ『リボン』もとりだせる。
このリボンの正確で簡便な作り方を示した上の論文不正
なのだ。
 グラフェンカーボンナノチューブはさまざまな物性
や化学の特性を持つ。例えばグラフェンシートは電気を
通すが透明である。ナノリボンも同じ。これは車の窓ガ
ラスに張り付けて『ガラスのアンテナ』として使える。
 多彩な炭素素材の研究は名古屋周辺で研究が進んで
いる。今回の論文不正も名古屋周辺である。カーボンナノ
チューブはノーベル賞候補と毎年騒がれているのだ。
この種の論文不正は今後のノーベル賞に泥を塗る行為で
残念だ。