オナラと『エントロピー』,何でこんな名前?    

 奇妙なタイトルですが、まあお聞きください。これは

今週日曜日、『那須サイエンスカフェの生徒会(カラ騒

ぎの会)』で講演したタイトルです。

 日本では科学用語、とくに物理学の用語は極力日本語

で語ることにしてきました。英語などをそのまま使って

しまうと意味が分からなくなってしまうからです。

 その点物理学用語は実に的確な日本語訳になっていて

感心します。第一physicsをそのままフィジックスとカタ

カナ表記にしては分かり難い。これを物理とすれば、鮮

明なイメージがわきます。『物、事物の理屈、理解』の

ようなすばらしい日本語イメージです。

 明治時代、このような日本での物理用語を初めて作った

のは今の理科大の前身『物理学校』でした。この学校は、

当時東京帝国大学にあった『フランス語物理学科』の卒業

生たちが作った学校で、多くの卒業生たちは全国の中学校

(今の高校)の教員になって行きました。しかし彼らは、

教育現場でフランス語物理、英語物理でとうすわけには

いかなかったのでした。そこで物理用語に日本語作りの

プロジェクトとなりました。

 しかしここに大きな問題が残りました。日本語にしよう

としてももともと意味がよく分からないものの存在です。

それが

  エネルギー  エントロピー  スピン

などという言葉でした。スピンは当時まだありませんでした

からエネルギー、エントロピーが難しいのでした。そこで

やむを得ずこれらの言葉は英語(フランス語、ラテン語

をかな文字で残しました。最近ではクオークなども翻訳

しようにもできずカタカナ文字となっております。

 まさかエントロピーを『オナラ運動』などと表記する

わけにはゆかなかったのでした。この分かり難いエント

ロピーの神髄を次回に解説します。とくにクラウジウス

の発見とボルツマンの発見にせまります。

   (つづく)