那須サイエンスカフェ生徒会『空騒ぎ』、オナラとエントロピー,デタラメの程度

 複雑な物理学量のうちに、特別に不思議な量があり

ます。その一つがエントロピーです。これはある温度

T度Kにある状態に熱エネルギーQジュールが移った

ときのQ/Tという量です。これは不思議な量で、途

中どのような過程をとって熱が流入しても最終的な、

トータルな熱量Qだけに依存する。このような量は

  状態量、あるいは示量数

と呼ばれます。ドイツの物理学者クラウジウスが、1

854年から1865年までの間に確立したものでし

た。

 この状態量はSと書かれエントロピー命名され

、その単位は『ジュール/度K』ですが、これを『

クラウジウス』と呼ぶことになりました。1クラウジ

ウスが1クラウジウスになる、とはどういうことか。

単にエントロピーSが増加した、ではすまない。とく

に表題のようにオナラとどんな関係にあるのか?

 オーストリアの物理学者ボルツマンは1877年、

明快なエントロピーの定義をしました。それは

   S=klogeΩ  

というものです。ここでkはボルツマンの定数、Ω

(オメガ)は状態の数、logeは対数関数という意味

です。

 つまりエントロピーはそのとりうる状態が大きく

なれば大きくなる、ということです。部屋に充満し

ていたオナラは部屋のドアを開ければ広い空間に

行き渡りますから存在する位置状態の数が多くなり

エントロピーは増大します。

 これが

    エントロピー増大の法則

と呼ばれるものです。オナラはエントロピー増大の

法則によって地球全体に拡散してゆきます。つまり

エントロピーとは

  拡散の程度、でたらめさの程度、ごたまぜの程度

 無秩序の程度、ばらばらの程度

なのです。つまり乱雑さの程度がエントロピー、という

わけなのです。もともと『乱雑さ』等という概念が物理学

用語として意味があるのか?それが大有りなのだから驚き

です。例えば『エントロピー弾性』というモノがあるので

す。

    (つづく)