中曽根科学技術庁長官、日本学術会議の原発導入反対に激怒、学術会議つぶし

 前回この欄で述べたように日本の原発は国の主導で

作られた。福島原発事故は国が第一番の責任がある。

 アメリカからの原発輸入の可否を諮問された日本学術

会議は『ノー』と答申した。アメリカで運転されたばかり

で安全性が未定とみなしたのだった。

 当時学術会議物理学専門委員をやっていた私は直接こ

の審議に加わっていたので政府がこの答申に激怒した様

子がもろに伝わってきた。

 まず日本学術会議の予算がストップした。『日本学術

会議法』など無視したのだ。予算を止められた東京六本木

の学術会議ビルはエレベーターもストップ。文系の会員は

高齢者が多かったから会議室まで階段を登れなくなった。

仕方なく会議は庭でやることにして若い委員は総動員され

上階にあった椅子を階段で運んだ。2,3時間の重労働

だった。

 これでもネをあげなかった学術会議をつぶすべく、中曽

根科学技術長官は『第二学術会議』を作った。それは政府

への『イエスマン』の集まりで、たしか『日本産業会議』

とか称した。すべての科学技術関連事案の諮問はこの産業

会議になされることになった。

 この事実を見れば原発導入がいかに政府主導でなされた

のかが分かるであろう。東京高裁の裁判官は福島原発事故

に国の責任を認めなかったが、これは上のような国の関与

を裁判官は知らなかったからである。また訴訟の代理人

つまり弁護士グループも知らなかったのだろう。

 良心的な弁護士グループが上のような中曽根科学技術

長官の原発導入のごり押しの過去を学ぶべきである。