カナカナ、カナ、ヒグラシの声聞く、実に23年ぶり,コロナのおかげ!

バンクーバーで夏を過ごすようになってからカナカナ

もミンミンもツクツクボウシも、セミの声などすっか

り忘れていた。バンクーバーにはセミはおろかトンボ

もいないからだ。ところが今年、一昨日の早朝、5時半

ごろ、そのわすれていたセミがカナカナ、カナカナ!

 、カナカナ、カナカナ!

 あ、あ、セミというのがまだ日本に生きていたのだ。

なんとなつかしい。子供のころ、角田市小田小学校

に歩いて2時間の山の中を歩いて通学した。そして

7月、セミの初鳴きを聞く。皆で手をたたいて喜んだ。

もうすぐ夏休みがくる鳴き声だったからだ。

 カナカナ、夏休み、カナカナ

と聞こえた。田舎の山の中、夏休みだからと言って

とくに楽しいことは何もなかった。ただ、野イチゴ

や桑の実をたらふく食べて歩いたりよその家の畑の

トマトを無断で食べたり、蛍とりをやったり。家は

小田川』という造り酒屋だったから名残の酒蔵が

たくさんあったので昼でも真っ暗な蔵遊び(お化け

やしき遊び)。

 カナカナは秋に鳴くセミという勘違いがあるが、初

夏から初秋まで早朝や日暮れどきに鳴く。私はカナカナ

の、単調で軽やかな声が大好きだ。夕暮れ時、シメリ化

を帯びて鳴き続けるカナカナは世の切なさをうたいあ

げて風流だ。23年ぶりの懐かしいセミの声が聴けた

のもコロナのおかげ。カナダに行けなかったからだっ

た。コロナ、有難う!コロナ、ばか!