村上春樹をはじめてチョコっと読んで大変面白かかった、それで。。。?

私は文学好きだがいつも読むのは平安時代から鎌倉時代

あたりの古典か自殺した作家のもの。とくに芥川龍之介

太宰治を読む。決して読まないのは現代のベストセラー

もの。だから村上春樹はこれまで一行も読んだことはな

かった。

 これでは何となく心残りの気もするし、暇つぶしにも

ならない。中野区の図書館で小三治のテープを借りにい

ったついでに村上春樹上巻を借りた。1Q84 

 なんとも奇妙なタイトルではないか。まるでスパイの

名前、偽名のようではないか。タイトルからして面白い。

芥川龍之介の決して使わない日本語だ。

 第1章 青豆という30がらみの、ミニスカートの女

が登場。タクシーは首都高速で大渋滞。渋谷で人と会う

約束に間に合わない。人と会う、と思った瞬間、バック

にいれた、『鋭利な道具』にさわる。これからこのミニ

スカートが、渋谷で男に会って殺人をする『らしい』と

暗示す。タクシーを降りてなんと首都高の非常階段を降り

始める。次に何をやらかすのか。わくわくするような、

気分だけではない。ミニスカートの(多分)美人の女が

靴も脱ぎすて高い非常階段の蜘蛛の巣をはらいのけるさま

は漫画イラストとしてもじつに面白い。

 第2章はまったく別の人物がひそひそと相談する。名前

は天呉。青豆もユニークな名前だが天呉もおかしな名前。

村上春樹は小説のタイトルから登場人物まで意表をつく。

有名出版社の有力編集長の天呉は新人賞をねらっている

作家の卵とひそひそ話。女子高校生からの投稿は下手な

文章で当然落選だが『お前の文章力で書き直せば芥川

賞も狙いる。』と。つまり一種の盗作、偽作、あるいは

作品詐欺ともなる。まともな有名作家の村上春樹の小説

が冒頭から偽作、盗作の相談から始まるとは意表をつく。

このような『文化的犯罪の予感』にわくわくする。

 しかも前章の殺人者らしい美人の青豆と偽作をたくら

むエリート編集者天呉はどこでどうつながるのか、早く

次を読みたい。しかし私はこれだけ読んだだけで、次の

日、この1Q84は図書館に返却した。

 講談も浄瑠璃も『いいところ』つまりもっと先が知り

たいと思うところでやめるものだ。大小説『大菩薩峠

もそうだった。

  『。。。これからが面白くなるのですが

    。。。ちょうど時間になりましたああ』

と。そう、そう、現代の村上春樹ベストセラーは講談

だったのです。講談の手法だったのです。だから面白い。

だが芸術としての真の文学作品ではない。