方丈記、続きのつづき、『夜臥す床あり』

  われ(すでに)60)歳。。。この山にこもり居て後

、やごとなき人(お金持ちで偉い人)の、かくれ給へる

もあまた聞ゆ。。。。炎上にほろびたる家いくばくぞ

(その多くは災害にあって家、屋敷を焼かれて逃れてき

たのだろう)

ただ(わが)かりの庵(いおり)のみ、のどけくして

(災害炎上の)おそれなし。。。。夜臥す床あり、ひ

る居る座あり。一身をやどすに不足なし。

 

 月かげは入る山の端もつらかりき

   たえぬひかりをみるよしもがな

______________________

 温暖化によって災害列島ニッポンになったとばかりは

言えない。養和のころも元歴のころも台風や大雨や大地

震はあったのだ。そしてもちろん火災、火事は都を焼き

尽くした。

 そのときの被害は家屋敷をことごとく破壊され焼かれ

た金持ちほどひどかった。まさに『おごれるもの久しか

らず』である。年収20憶から30憶円を受け取ったゴ

ーン被告の例をひくまでもない。山にこもり月の光に見

とれるだけの我が家は寝る場所と居間があれば十分であ

る。

 私も同じ老齢の身。鴨長明にあこがれる。ただ、ささ

やかな方丈がある那須の山にあって読書と月とを友にし

て。ただ違うのはお経も念仏も唱えないだけのことだ。

 

  秋ぜみの鳴きおわりたる山はだに

   たえぬひかりのつきかげおこり虫のこえ。